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川からのインスピレーション

いの町本川村越裏門(吉野川源流域)で、宿泊業を営む岡林さんは、広島からこの地に嫁いできて40年。

その岡林さんが、真冬の吉野川の水の青さには

「ときどき背中がゾクゾクっとする」

と言っていた。

こんな風に、かつて自然は、人間にインスピレーションを与えてくれる存在だったんだと思う。

しかしこの青さをみると、それも納得できる。

吉野川源流 2020.2.2.

吾妻川を見守る

八ッ場あしたの会の集会が、高崎で開催された。

2019年の9月から、あしたの会から依頼を受けて、八ッ場ダム建設の状況を一か月の一度のペースで撮影している。この集会での冒頭、撮影した映像を上映してもらった。

2019年の10月に試験湛水が始まったので、映像にはその前のまだ吾妻川が流れている姿も登場する。そして10月中旬の台風19号による、満水。そしてその後の水位を下げたダム湖の様子が映し出される。

会の後で、何人かにドローンの映像の感想について声をかけていただいた。

編集の方には大変ご苦労をおかけしたのだが、今後の資料にもなると思い、4K動画で撮影した。(ファイルが大きいので編集に手間がかかる)

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さて集会の感想。

1.「台風19号で八ッ場ダムが首都圏を救った」というニュースは、まったく根拠のない事実だった、ことがわかった。

台風19号での利根川観測最高水位(栗橋地点)は、9.67m。これは流量に直すと約11,700㎥/秒となる。

八ッ場ダムの治水効果について国交省が2009年に行った計算結果によると、100年に1回の規模の洪水の削減率は3パーセントと見積もられている。今回の洪水は、この規模であったと想定して、11,700㎥/秒÷0.97(100%-3%)=12,060㎥/秒となる。

これを水位流量計算式から求めると、水位は9.84mとなるので、9.84m-9.67m=0.17m。

つまりもし八ッ場ダムがなかった場合は、17cm高くなるということになる。

グラフからもわかるように、堤防高まではまだ2m以上あるので、八ッ場ダムによって堤防があふれなかったというのは、事実ではない。

2.試験湛水中に問題が起きる可能性を考えておかなければならない

2019年10月1日に始まった試験湛水だが、3~4か月かけて満水になる予定だったが、台風19号の降雨により、10月15日に満水になった。わずか半月である。

貯水位の変動に伴う地滑りの可能性があるが、特に今回は急激な水位上昇があったので、特に注意して監視しないといけない。

下の資料にあるように、全国のいくつかのダムで試験湛水中に漏水や地滑りが起こっている。

3.「日本のポンペイ」はもう沈んでしまった

ダム湖となった吾妻地域は、縄文時代の遺跡が濃密に分布していた。「日本のポンペイ」とも呼ばれていたらしい。すごい遺跡の数である。

河岸段丘であり、背後に豊かな山、そして吾妻川という水場という地形的条件が整っている。

さらに地理的にも、西に鳥居峠、南に地蔵峠、北には草津峠と古くから関東と信州や越後を結ぶ重要な交通路であった。

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会報にも書かせてもらったのだが、ダム堤が出来上がり、今まで流れていた川が堰き止められて、ダム湖が出来上がっていくという瞬間を見たのは人生で初めてのことだったので、大変なショックを受けている。

会の最後に議員の方の挨拶があって、大変印象深かったのが、この出来事を次の世代に語り継いでいかないといけない、という発言だった。

吾妻川がどのように変わっていくのか、住民の生活がどう変わってしまうのか、見守り続けていきたいと思う。

Tomorrow

「八ッ場あしたの会」の発行する会報誌に寄稿した。

全文がwebsiteで公開されている。

https://yamba-net.org/49960/

八ッ場あしたの会の渡辺さんに声をかけていただいて、2019年の9月頃から八ッ場ダムへ月一回のペースで空撮の仕事に出かけている。

渡辺さんとは面識はなかったのだが、川の活動を通じてお名前は存じ上げていた。facebookを通じて連絡をいただいた。

八ッ場ダムについては、ダムによって川が塞がれる前の吾妻川の姿を知っているだけに、ショックが大きい。とうとうこの日が来てしまったか、というじわじわとボディブローでノックダウンさせられたような気分である。

川は曲がりたがっている

新潟に大熊先生を訪ねた。お会いするのは実に4年ぶりで、今回の訪問はひじょうに楽しみにしていた。

吉野川の仲間と河川研究室にお邪魔して、おいしいお食事とお酒をごちそうになり、泊めてもらい、先生から川の哲学をたっぷりうかがうという、川マニア垂涎の贅沢な旅であった。

先生にこの詩を紹介していただいた。

川は曲がりたがっている

川は曲がることによって緩やかさと激しさを造り

生き物が居着く

土手は土であり生を植え付ける

土手の中を流れる川と握手して、生を育む

土手は土である

「土手論」国見修二著『詩集・鎧潟』より

頭をガツンと打たれた。そうなんだよ、自由に流れる川を見たいんだよ。自由に流れる川を見たときに感じる、自分の自由さ。それを求めて旅をしている。

さらに翌日、「川の立体交差」という、これを見ながら白飯が食えるという興味深々の構造物を案内していただいた。

信濃川の鮭を買って帰る
オニバスの裏側

新潟市西区、新川と西川が立体交差している。

知れば知るほど、川は曲がりたがっている!