滑走の記憶だけ

 鳥海山へバックカントリースキー。
 思っていた以上に、そして見た目よりもキツい山だった。特に山頂付近の急登。山頂はまだか、まだか、と思いながら、スキーをザックに装着して、ブーツを雪面に蹴り込む。もう、シール登行できる斜度ではない。
 おそらく後、1時間弱で頂に立てるのだろう。時計の針は2時を指しているが、もう山頂しか目に入らない。西の空からうっすらと雲が近づいている。アドレナリンで気持ちよくなりつつ、 目指すは一点のみ。
 
 前日の晩、3か月近くお休みしていた、トップ130センチの板「gotama」を引っ張り出し、眠い眼をこすりつつワックスをかける。ウェアに手袋、まさか5月の終わりに、雪面を滑走するとは考えてもみなかった。
 
 頂にたどりつけば、向こう側に広がる日本海の雄大な景色が楽しめるのかと思っていたが、そこではあいにくガスが巻いてきた。では履いてきたシールを早々とビニール袋に押し込み、およそ500メートルの一枚バーンを滑り降りる。時間にしてわずか数秒だろう。足の裏に、最高の感触。このために、大半の登りの時間がある。ここに来るために、3時間以上のキツい登りがある。これが山スキーだった。思い出した。
 数十分後にはスタート地点の5合目祓川に到着していた。後になると、気持ちよかった滑走だけが記憶として残されている。つらかった登りのことはほとんど覚えていない。そういうわけで、またいつの間にか、つらい登りを繰り返すことになる。

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滑走の記憶だけ への1件のフィードバック

  1. Unknown より:

    あ~。いいですなぁ。鳥海山。雪が有るうちに行きたいと思っていたけど、今年は無理そうかなぁ。。。山生活、順調のようですね。コッチはすっかりSE風情に身を窶しております。。。まぁ、山登りはバリバリやっておりますが。数年後にまた、山仕事の転職活動をする予定でおります。では、頑張って下さいね!!

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