漆の実のみのる国

 藤沢周平著『漆の実のみのる国』(上・下)
 
 藤沢周平に惹きつけられて著作を読み漁っていたときがあった。そのときにまとめ買いしていたのだが、上下巻あるので、何となく遠ざけていて、しばらく本棚に眠っていた。
どうして今まで眠らしていたのか、後悔するほどの内容だった。
 
 江戸時代、米沢藩。上杉鷹山の家老・竹俣当綱は、10年後に米沢藩の石高を15万石から倍の30万石に引き上げ、領民の暮らしを救うために、政策を打ち出す。それは毎年の天候不順に悩まされる農作物に変わって、あまり天候に左右されることのない木の実。領地を開拓し、漆や楮などを植え、10年後領地を埋める漆の実によって漆蝋などの加工品をこしらえる。誰もが、領地に漆の実がみのって、豊かに暮らす10年後の暮らしを夢見ただろう。
 しかし結局、この政策はみのることはないのだが、竹俣当綱は言う。
「いかに学問があっても、国を困窮から救う方策がなければ学問は何の役にも立たない。国家は今年ばかりの国家にあらず。君上は御一門の意見からひろく衆虜まで聞きとって、目前の困難に対処するだけでなく、二十年先の構想を打ち立てて国人のくるしみを救われるべきである。」
 
 今、この本に出会ってよかったのかも知れない。当時であれば、ただのストーリーであったかも知れない。
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