クマタカの棲む森

 続いて愛媛県の肱川へ。
 
 肱川は、愛媛県完結する川でありながら国が管理する一級河川である。幹線流路は103キロ、しかし源流から河口までの直線距離は18キロしかない。まるで「ひじ」のように折れ曲がっているというのが、名前の由来だ。
 大洲の市内でアユが産卵し(訪れたとき、まさに産卵行動をしていた)、深い山々からの流れと風景が「清流」と呼ぶにふさわしい。
SANY0201
 すでに基本方針が策定され、整備計画も2004年に策定済みであるが、整備計画策定作業に関しての流域委員会では、徹底的に住民を排除したことで悪名高い。住民意見は徹底的に聞き置くだけ。反映させるという姿勢はまったく見られなかった。流域委員会は、学識者と首長だけで組織され、住民の代表は選出されなかった。
 
 そして計画には、新規ダムの建設が明記されており、これが治水対策のメインとなっている。しかしこのダム計画には、地元住民から大きな反対運動のうねりがおこっている。
地元住民がこのダム計画-山鳥坂ダム-計画に反対する理由は以下。
     1.ダムが完成しても洪水常襲地帯が残る(常襲地帯の住民は、洪水と共存している印象だった、特に大洲地区)
     2.ダムができると、アユが壊滅的な被害を受ける(訪れた時は、アユが瀬で産卵行動をしていた)
     3.ダムにかける財源があれば、ダムを中止して河道整備(堤防整備など)にまわす方が賢明。
     他
 
 山鳥坂ダムの建設が予定されている河辺川(肱川支川)は、肱川流域面積1210平方キロのうち64平方キロ(約5パーセント)に過ぎないことから治水効果にも疑問があるが、国はこの数字を前面には出してこなかった。
 またダム建設予定地は、希少種のクマタカの生活圏そのものであり、生物環境への悪影響も心配されている。下の写真は建設予定地に近いところであるが、おそらくダムの設計者がみたら、思わず手をたたいてダムをつくりたくなるような地形なんだろうと思う。
SANY0208
 これは肱川に限ったことではない。今あるものを活用すること、最低限の改変で、済ませられるのではないか。「造る」ことで失うものは、あまりにも大きい。「便利さ」を求めて、失った「豊かさ」はあまりにも大きい。失うと取りもどすことができない「かけがえのないもの」は、何か?再度、考え直さなければならない。
 
 アユ釣り師のおっちゃんに、吉野川から来たと言ったら、「そうかぁ、それやったらうちの川よりもええアユが、おるなぁ」と少々、悔しげに答えがあった。そう言ってもらえる川に住んでいることは、とてもうれしい(「川に住んでいる」という表現はとてもいいな)。肱川の土産と言って、自分で山から切り出してきた竹をくれた。この竹を、アユを釣るときに使うタモ網の柄に使うんだそうだ。捻じ曲がった竹の節が、ぼくの手にもぴったりとおさまる。ありがとう、おっちゃん、肱川。
 
肱川の河川整備については↓
広告
カテゴリー: 旅行 パーマリンク

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中