サクランボ

 高校ラグビー部時代の友人の結婚式2次会に、島根県松江まで行ってきた。ここのところまわりで結婚続き。
 
 松江までは家の近くの駅からJRを乗り継いで、5時間。実にこの久々の、列車旅行がよかった。
 
学生の頃は、青春18切符とかで、よくあちらこちらへかけすぎといえるくらい時間をかけて出かけた。今は、そんな余裕もなくなってしまっていた。沢木耕太郎や五木寛之に感化されて、アジア・ヨーロッパも列車であちこち出かけた。最長はやはりシベリア鉄道で6泊7日かけて、ロシアを横断する列車旅行だった。白夜で沈まない太陽に薄く照らされたタイガが延々とつづく風景は、今も忘れることができない。
 
 そんな時間に比べるとわずかな時間だったのだが、たまたま持っていた本が沢木耕太郎の『246』。これは有名な『深夜特急』が出されるまでの沢木さんの日常を、日記としてつづったものなのだが、今の自分にとってとにかく深く心に響いてくる内容であってむさぼるようにして、読んでしまった。沢木さんの都会的な生活とジャーナリズムへのこだわり、かつ一方で自然への憧憬が実に印象的だった。また娘さんとのかかわりが、沢木さんをより人間的に映し出している。『深夜特急』については、その旅を終えてから10年たってから書いたことが不思議でならない。情景の細やかな表現や、感情の機微がこと細やかに臨場感たっぷり伝わってくるのは、その旅の仔細を日記に記していたのだろうか。しかし『246』の文中では、日記をつける習慣がなかったと記していた。
 
 松江までは行きも帰りも、岡山県に入ってからの川沿いの風景が気に入って、他に読書、眠りを繰り返して、あっという間に目的地に到着してしまった。
 
 家に帰り、庭に面したガラス戸を開けると、たわわに実ったサクランボが視界に飛び込んできた。もう熟し過ぎたものが地面にも落ちてしまっている。こんなに大きく育っているのに、その過程に気づくことができなかった。慌ただしい生活の中で、大事なものを見過ごしてしまっているなと、反省と後悔。
 小粒だが、びっくりするぐらい甘くて美味しかった。
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