雪渓

 9月下旬、立山連峰から黒部までを歩いた。
 
 木の葉がわずかに色づき始めた季節。
室堂周辺の紅葉の光景は、山岳雑誌でよく見かけていた。
 
 室堂から立山連峰の雄山までは、ツアーの登山客が大勢だった。
尾根から東西南北を望むと、遠くに穂高連峰や槍ヶ岳、北アルプスの山々のシルエットが浮かび、次の山行のイメージが次々に浮かび上がってくる。
 
 立山連峰の最高峰は大汝山(おおなんじやま)で3015m、主峰の雄山(おやま)は3003mの標高がある。富山市の街中からみたシルエットも実に美しかった。
 
 立山から剱岳へと歩み、日本三大雪渓と言われる剱沢雪渓を進む。雪渓は尾根近くから谷沿いに真砂沢の先まで相当な距離にわたって続いている。カチンコチンに凍りついた雪塊は、この高所では夏の間の緩やかな陽射しでは溶けることがない。しかし雪渓の両端から溶け始めているので、雪渓上にアプローチする際は、その両端を避け、大きく回りこまなければいけない。両端は大きなクレバスが、すべてを飲み込んでしまう闇の口を開けている。雪渓上は軽アイゼンをつけて、約2時間、真砂沢の山小屋までの行程となった。沢が合流する地点では、溶けかけた雪塊が大きなクレバスを造りだしている。やや西に傾き始めた太陽が雪の斜面を照らしてきらきらと反射する。歩んできた道のりの背後には、剱岳の美しいシルエットが浮かび上がっている。疲れを癒してくれる瞬間が、山では度々訪れる。
 
 新しいダウンのシュラフは、実に軽く、保温性も抜群。テント、シュラフ、食料を全てザックに詰め込んでも15キロほど。2500メートルほどの高度があっても、あたたかくテントの中で朝を迎えることができる。
 
 さらに剱沢を下ると雪渓がなくなり、黒部川と合流する。その地点は黒部ダムからの放流の下流にあたり、それほど距離もないので、乳白色をして生き物の匂いがしない、沢水になっている。これを下流に行くと、有名な下ノ廊下や十字峡へと辿り着く。
 今回は、上流へと向かい、黒部ダムという大きな大きな構造物をゴールにした。その大きさに圧倒される。こちらのルートはほとんど人とすれ違うこともなかった。
 
 北アルプスの山々の奥深さを、次々に合流する沢ごとに感じることができる。またそれぞれのペース、価値観で山を歩く人々との出会いもうれしい。
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