山の仕事

 東祖谷の山へ、材木の調達へ向かう。
 杉林の中から、倒してある材を林道へ運び出す作業。
 
 まずは倒れているスギの枝を打つ。チェンソー、枝打ち用なた、のこぎりを使う。今度は用途に合わせて材の長さを測り、切る。これはのこぎりでは時間がかかりすぎるため、チェンソーを使う。
 次に、材の端にワイヤーを掛け、林道に待ち構えているユンボに繋ぐ。これはワイヤーの長さを調節しなければいけないので、なかなか思い通りには進まない。運び出しも、その斜面によって方法は違り、例えば林道が斜面の上にある場合は機械で引っ張るしかないが、林道が下にある場合は材が走る道を作り、斜面を滑らす。この時、立ち木を傷つけてはいけない。傷がつくとその立ち木は売れなくなるのだ。
 材を動かすときに使う道具が、「つる」と「とび」。つる口、とび口と言われ、棒の先に鉄で打った口が取り付けられている。この尖った先を材に打ちつけ、引っ張ったり、てことして利用したりする。大きいものでは500キロもの材を動かすことができるそうだ。「とびが使えれば一人前」と言われるほど、その操作方法は難しい。
 林道からはトラックに載せて、その材を必要とするところまで運ぶ。たった一日の作業でももう、体はへとへとだ。
 これだけの労力をもってする林業だが、わが国のそれはまったく成り立たない現状である。育てた木を出せば出すほど赤字になる。いっそ放って置くほうがましということで、日本の林業は衰退し、山野の森林は荒れ放題となっている。戦後、スギ、ヒノキ材は金になると全国一斉に人が入れる山という山に植林がなされた。しかしその後、木を育て、切り出し、売る作業という手間をかけるよりもはるかに安く、質の良い外材が入ってくるようになった。しかし今日、その外材はどこからやってくるのか?森林生態系に配慮した木材調達に関しては FoE Japan の web site を見てほしい。
 
 話はそれたが、昔の人はこれを人力のみでやっていた。スギやヒノキの産地は全国にも数多くある。三重宮川や和歌山熊野、京都北山に徳島木頭、大分日田・・・。数えあげればきりがない。
 樵(きこり)は斧で、木を切り、のこで切り分け、人力もしくは動物の力を借りてそれらを運び出す。気の遠くなるような時間のかかる、そして手間のかかる作業だ。そんな昔の日本人の暮らしと苦労を心から尊敬する。
 
 山もすっかり春の息吹。タラが芽吹き、フキノトウは日のあたる斜面に所狭しと肩を寄せ合っている。遠く三嶺の山々は、頂に雪化粧を残している。
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