フンババの森の神

 今から8000年の昔、チグリス川とユーフラテス川の間の土地で世界最古の文明が生まれたとされる。メソポタミア文明である。メソポタミアとは、川と川の間の土地という意味を持つ。
 ここメソポタミアで、5000年以上も前にシュメール人が粘土板に物語を刻んでいる。シュメール人の王ギルガメシュの物語『ギルガメシュ叙事詩』である。
 
 うっそうと生い茂るレバノン杉の森、このフンババの森は神によって守られていた。人々は森の神を畏れた。
 ギルガメシュはこの森の神を倒し、人類を神もしくは自然の奴隷から救い出さなければ、人類の発展はないと考えた。立ちふさがるフンババの森の神を虐殺するのである。ギルガメシュは神を退治したことにより、人間は解放され、新しい歴史がやってくると考えた。神殺しは人類史において、初めての出来事であった。
 人類はこれを境に、自然を大規模に破壊・征服する文明を擁立した。自然と共存してきた人類の歴史は岐路にたった、と言えるのではないだろうか。
 
 しかし後にギルガメシュは、このフンババの森の神を殺したことから始まる都市文明を、
  
 「私は人間の幸福のみを考えていたのだ。人間の幸福のためにいかなるものを犠牲にしてもかまわないと思っていた。フンババの森の神とともに、無数の生き物の生命を奪ってしまったのだ。何百年、何千年後に、また何千、何万のギルガメシュが出てきて、森の神を殺す。やがて森はなくなり、地上には人間と人間によって飼育された動物と植物しか残らないことになる。それは荒涼たる世界だ。おそらくそれは人間の滅びに通ずる道だ」
 
と振り返り、息絶えるのである。
 実に、5000年も前に画かれた物語である。自然破壊による人類の滅亡の道筋を示している。
 
 日本でもかつては、山や森は、自然は、鎮守の森や神が住む場所として、畏れ崇められていた。しかしいつからか、人間は自然を征服しようと考え、、利用するだけ利用して放り出してしまった。霊的な何かが宿るものは、いつからか人間の心から消え去り、ひたすら消費する社会へと変貌した。
 ぼくらは日々の生活を、考えなおさなければいけない。
 
 
   参考↓
 『古代文明の滅亡』安田喜憲
 2002年 学研M文庫
 
 
 
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