into the source

 全長194キロを誇る吉野川。始まりの一滴をたどる源流行。
 メンバーは稔さん、豊さん、トップとぼくの4人。前日から瓶ヶ森山頂近くにてキャンプ。
 
 高知県に入ると、早明浦、大橋、長沢と3つも巨大なダムが出現する。記録的な少雨の梅雨によって、貯水率は40パーセントを切っている。早明浦ダムの底に沈んでいる旧大川村役場が、姿を現している。『漂流教室』の一場面のような印象・・・。
 干上がった川底は、不毛の赤茶けた土を露出していて虚無感が襲ってくる。どこのダムでも、ダム湖はこのような惨めな状況だ。下校途中の子どもたちに遭遇するが、毎日、ダム湖を、そして今は、干上がった川底を横目に、こんな風景の中で暮らすことを考えてしまう。
 ダムを受け入れるときに、地元の人々は、豊かな森を、自然を失う葛藤をどのようにクリアしてきたのだろうか・・・。
 
 さて源流である。
 高知県と愛媛県の県境に聳え立つ瓶ヶ森(かめがもり)、吉野川の源流はここであると言われている。高知県本川村から吉野川をたどり、白猪谷(しらいだに)渓谷を遡る。
 源流登山口から10分行くと、スギ・ヒノキの植林からカツラ・ブナ・トチなどのうっそうとした原生林の森へと変わる。沢を流れる水はコバルトブルー。沢の岩石も青石なのである。
 
 深く碧い淵には魚影が見える。アメゴだろうか。人の影を見ると、あっという間に岩の隙間に姿を隠してしまう。岩肌には、赤いツツジが見事に咲き誇っている。カワガラスが、あっという間に上流へ姿を消してしまった。
 
  途中、何度も渡渉を繰り返し、往路は約2時間の行程。そこには四国の形をくり貫いたモニュメントがたっている。源泉が湧き出るように、水がたまり、小さな流れとなっていく。苔むした岩肌を水がつたっていく。そこよりも上には、15メートルもある滝が、大きな青石の岩肌をつたっておりてきていた。
 原生林の森は、尾根に近いこの場所でも常に水を蓄えている。『緑のダム』である。しかしこの美しい水は、途中何度もダムで堰き止められる。ダムがなかった時代、森が豊かだった時代、この日本の山河はどれほど美しかっただろうか。タイムスリップして見てみたいものだ。
 
 源流の水を、そのまま手のひらに掬って飲む。なんて冷たさだ。水が美味しいということは、生命の暮らしにとって一番大事なことだろう。
 
 稔さんは巨石の上で座禅を、豊さんは昼寝、トップは写真を撮り、ぼくは裸になって沐浴。それぞれの時間を過ごし、もときた道をたどる。言葉にできない快適な時間。
 さまざまな場所や物に思いを馳せ、自由になれる。水と森の豊かな旅。
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